技術書を買うときに考えること
自分が好きではないものと比較する
自分は本を買うのがわりと好きなのだが、技術書は値段がはることもあり躊躇することがままある。 そんな時に自分をレジに向かわせるために、「風俗に行ったと思えば安いもんだ。」と言い聞かせている。 これによって財布に余裕があるときはたいてい欲しかった書籍を購入することができる。
ここでポイントなのは
- 自分には風俗に行く習慣がない
- 風俗に行くということはリアルに想像できる
ということだ。
風俗に行く習慣がないということは、自分にとって風俗に行った経験は楽しくはなかったということを意味する。 もしくは、楽しかったかもしれないが値段に見合うサービスを受けたとは思わなかったことを意味する。
逆に、以下のようなことを考えても意味がない。 「飲み会に行くと思えば安いもんだ。」 「ジャケットを買うと思えば安いもんだ。」 いずれも自分にとって興味がある対象であるから、これらを技術書と比較してもレジに並ぶための動機にはならず、むしろ「技術書を買って満足するより、ボタンのほつれていないジャケットを着たい。」とか「一人で引きこもって本を読むより、気のおけない仲間たちとワイワイやったほうがいい。」という判断を下すことになり逆効果である。
つまり、どういうことかというと ある対象を自分が好きではないものと比較することによって相対的にその地位を引き上げるようにしているのだ。 つまり、ここでは技術書を風俗と比較することで技術書の地位を引き上げている。
次に、リアルに想像できる点についてだが、例えばパチンコに行くとか街頭募金に寄付するとかは自分にとってそのような欲求がないために比較したところで現実味のないものでしかない。 現実味のないものと比較しても意思決定には結びつかないため無意味である。 風俗は時々生理的に行きたいという欲求が生じ、かつ享受できるサービスの内容もだいたい把握できるためにそれをイメージ化することで、本を購入したことによる自分の満足感や、知識の習得といったメリットと比較できる。
つまり、比較する対象は自分の中でイメージ化し抽象的に比較が可能なものでなければならないということだ。 例えば、欲しい技術書が3,000円だとして読むのに10時間かかるとして、風俗が60分20,000円だとする。
さらに技術書を読んだことによる知識の向上やらを数値化し、同じように風俗に行きすっきり満足したことと後悔の念をを数値化する*1。 そうすることで、本来は比較できない対象にもかかわらず比較することが可能になり意思決定の材料に使える。 ただし、実際には数値をきちんと算出しているわけではなく、脳みその中でなんとなく比較しているにすぎない。 しかし、その曖昧な比較― 脳みそのスローな部分におけるヒューリスティックな思考 ―を行うことによって、技術書を買うことを推し進めてくれるので十分なのだ。*2 この考え方はダニエル・カーネマンのファスト&スロー を読んで意識するようになった。
まとめ
- メリットとデメリットがトレードオフな事象Aを行うかどうか意思決定する場面に遭遇する
- 頭のなかでメリットとデメリットがイメージでき事象Aよりも効用が低い事象Bを想像する
- 事象Aと事象Bの効用を比較した結果が事象Aを行うための動機づけとなる
この技術書を買うときに考えることをもっと応用できないだろうかと模索中である。