Appleがフォントを「San Francisco」と名づけた理由について
WWDC2015 でApple の既定フォントが変更になったという発表があったそうな。
Apple製品(OS X El CapitanとiOS9)の既定フォントとして、現在使われている「Helvetica Neue」がオリジナルフォント「San Francisco」に取って代わられることとなった。
Helvetica というフォント。全く専門外の自分でもたまに耳にするフォントだ。
何気なくファイナルベント氏のブログを漁っていたところ Helvetica という単語ラテン語で「スイスの」という意味の形容詞だということがわかった。 (ウィキペにも書いてた)
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2014/09/post-dc50.htmlfinalvent.cocolog-nifty.com
スイスのラテン語の正式名がありました!
Confoederatio Helvetica つまり、Helveticaって、正式にスイスのことでした。知らなかったぁ。
これで長年の疑問がひとつ解けた。
スイスという国は永世中立国としてユーロ圏でも確固たる位置を占め、ユーロ圏の統一通貨であるユーロにも加盟していない。 スイスの通貨はスイスフラン、略称はCHFである。 で、長年の疑問はこの略称であるCHFがいったいなんの略なのかということだ。 ちなみに、日本円はJPY、アメリカドルはUSDで略称は一般的に国名+通貨単位であることがわかる。
Wikipediaでスイスをみると、スイスの正式名称は「4種の公用語で定められているが、硬貨や切手などのように4種を併記する余裕がない場合に単独で使用することが許されるラテン語の国名(Helvetia、ヘルヴェティア共和国も参照)が定められている。」 とあった。
さらに、「略称は、ラテン語名の頭字語であるCHを用いる。」ともある。
つまり、スイスフランの略称であるCHFは
- Confoederatio
- Helvetica
- Franc
の頭文字だったのだ。 なーんだ。
ここまで前置き。
これらをふまえると、Appleが新しいフォント名を「San Francisco」と名づけた理由が色々と思い浮かんできて面白い。
「San Francisco」というフォントは元々Macintoshの当時 “System” と呼ばれたOSに入っているスーザン・ケア女史による都市名を冠したビットマップ フォントの一つであった。
そして、その名前はAppleWatchのためのシステムフォントとして復活を遂げたという経緯がある。 つまり、過去の数あるフォントの中から「San Francisco」という名前を選択したということだ。
大国に挟まれながら団結し独立を勝ち取ってきたスイスとヒッピーや性的マイノリティの聖地であり、通勤圏にシリコンバレーを有するサンフランシスコを重ね合わせた。
本社のあるCupertino でもSan Jose でもなくSan Francisco だ。
これは世界一の企業であるAppleがサンフランシスコという街をひとつの独立した共同体として捉え、独自の文化を継承し発展させるという意図が含まれているのではなかろうか。
とかいう想像を膨らませたりできるのがAppleの面白いところなんだろうな。
WWDC2015で発表された新サービスはどれも二番煎じでかつ期待が持てないものばかりだったけれど、Appleが散りばめているデザインに込められた哲学みたいなのは大好きだ。
- 作者: 森田安一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2000/07
- メディア: 新書
- クリック: 34回
- この商品を含むブログ (9件) を見る