「父称」がわかればロシア文学が読みやすくなる
ドストエフスキーなんかのロシアの小説を読んでいると、 同じ人物の呼び名が複数あるという問題に出くわす。
例えば、罪と罰の主人公ラスコーリニコフの場合だと本名はロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフだが呼び名は複数ある。
- ロジオン・ロマーヌイチ
- ロージャ
- ラスコーリニコフ
と呼び名がコロコロと変わる。
罪と罰を読み始めた当初、これに慣れなくて「これは誰のことだ?」「いったいどうしてこんなわかりにくい書き方をするんだ」と思った記憶がある。
整理しながら読んでいけばちゃんと誰のことか理解できるのだが、複数の登場人物が複数の呼び名を持つというわかりにくさにとても苦労して話が面白いかどうかなんてのはさっぱりだった。
で、この前タモリ倶楽部の「東欧美人が勢ぞろい 噂のパブ ロシアンルーレットに潜入」の会にその答えがあった。
ひとりであっそういうことだったのか!と合点がいきまくりだった。
ロシア人の名前は
名字+名前+父称 という形式になっている。
父称というのは、父親の名前の末尾に女性ならヴナ、男性ならヴィチをつけたものだ。
ラスコーリニコフの場合だと、ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ。
ロジオンが名前、ラスコーリニコフが名字、ロマーヌイチが父称だ。
なんで並びがキャプチャと違うかというと名前+父称 というのが礼儀正しい呼び方なのでこの並びになっているのだと思う。
名字+名前+父称の形式だと、ラスコーリニコフ・ロジオン・ロマーヌイチ となる。
ロシアなどは名前にそれほどバリエーションがないらしく、名前だけでは誰かが区別がつかないことが多く、名前+父称で個人を表す名称とするのが一般的らしい。
というわけで、ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフだが呼び名が複数あり理由がわかった。
- ロジオン・ロマーヌイチ → ちゃんとした呼び方、目上の人もこれで呼ぶ
- ロージャ → 愛称、親しい間柄での呼び名
- ラスコーリニコフ → 名字、作者が使うくらいで一般的に名字だけを呼び名に使うことは少ない。
なるほどなるほどこれで少しはロシア文学が読みやすくなったかな。
そのうち消されると思うがYouTubeに上がっていた該当するタモリ倶楽部のURLも参考に貼っておく。
[参考]
http://www7a.biglobe.ne.jp/~skawashima/GoToday/EVENT/LITERARY/LITERARY_06.html