テセウスの船と式年遷宮
削除しやすいコードは良いコードである。
これはその通りだと思う。
適切にモジュール化されテストコードの存在するコードが、複雑に結合したテストコードの存在しないコードよりも優れているのは明らかである。
コードを書き直さないことがベストプラクティスだった時代もあったかもしれないが最近の開発傾向はコードの半減期が早い傾向にある。
テセウスの船(テセウスのふね、英: Ship of Theseus)はパラドックスの1つであり、テセウスのパラドックスとも呼ばれる。ある物体(オブジェクト)の全ての構成要素(部品)が置き換えられたとき、基本的に同じである(同一性=アイデンティティ)と言えるのか、という問題である。
テセウスの船 - Wikipedia
徐々にパーツを交換してきたテセウスの船の同一性が問題になるのならば、20年毎にまったく別の建物になる伊勢神宮の場合はどうなのだろうか。
神宮式年遷宮は、神宮(伊勢神宮)において行われる式年遷宮(定期的に行われる遷宮)である。神宮では、原則として20年ごとに、内宮(皇大神宮)・外宮(豊受大神宮)の二つの正宮の正殿、14の別宮の全ての社殿を造り替えて神座を遷す。 神宮式年遷宮 - Wikipedia
果たして20年前の伊勢神宮と新しくできた伊勢神宮は同じものなのだろうか。 同一性とはなんだろうか。
2018年の振り返り:組織論とマネジメント
組織
2018年は組織論やマネジメント関連のテーマについて関心を持っていた。
組織というのはモチベーションが正しく設定されていて、資本や資源が適切に投下されていればトップダウン式のマネジメントは不要で自らのちからによって目標を達成していくものである。
ただ、得てしてこれらの施策は失敗することが多い。
モチベーションの設定に失敗
モチベーションの設定に失敗するというのはひとつは業務タスクの分割の失敗のことである。 ある目的を達成するためには業務をいくつかに分割する必要がある。
例えば、高級リゾートホテルを建設する場合、すべての業務を一人で行うことは不可能だ。そのため、業務を複数人で行うために分割しなければいけない。 そうすると、バケツを右から左に受け渡すだけの単調でつまらないモチベーションを保つのが難しい仕事というものが生まれてくる。
ソフトウェア開発において、例えば一日中ブラウザのスクリーンショットを撮る業務といったものがある。 こんな業務が生まれる理由はマネジメント層に自動化するという発想がそもそもないか、プログラムで自動化できるスキルをもったエンジニアを一人雇うより、スキルのない複数人にスクリーンショットを手動で撮らせたほうがベンダーとしては儲かるという理由だったりする。
資本や資源の不適切な配分
資本や資源の不適切な配分というのは、開発者のマシンにメモリが2GBしか積んでいないとか、座組に失敗していて必要なスキルを持った人員がその場にいないという状況だ。
NTTの失敗
2018年末にNTTを退職するというトピックが盛り上がったがやはりというかこのような資源の不適切な再配分というのはいまだに起こっている。
セキュリティに限らず、研究所以外の場所ではソフトウェアの開発をしているというのにメモリが4GBとか未だにHDDを使っているとかそんな非人道的な環境での作業を強いられている部署もあるという証言もあった。
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メモリとSSDの数万円をケチって何百万円分の人月稼働をドブに捨てているかという自覚を持てない人間が指揮を執っている可能性すらある。面白いのが一説として「今の経営層の現役世代のPCはメモリが128MBとかの世界だったから、4GBというのが途轍もなく巨大な容量に見えているのかもしれない」という話で、なるほど大企業的かも知れないと納得するに至った。
http://kumagi.hatenablog.com/entry/exit-from-ntt
この記事だけでなく他にも Life is beautiful: NTTの株価総額が世界一だった時に、Microsoftに転職した理由 などNTTの研究所が組織として機能不全を抱えていると主張するエントリが多数出てきた。
NTTが抱えている問題は非常に興味深いが、これらのブログ記事以外に僕が判断する材料がないため詳しくは突っ込まない。 雰囲気的にはマネジメント層が今の技術を正しく捉えられていないことや強すぎる労働組合がエンジニアの給与を適正な水準まで引き上げることの障害になっていることが機能不全の原因のようだ。
そういえば、私が組織についての書籍をはじめてじっくりと読んだのはNTT出版が出している組織の経済学だったなあといいうのを思い出した。
- 作者: ポール・ミルグロム,ジョン・ロバーツ,奥野正寛,伊藤秀史,今井晴雄,西村理,八木甫
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 1997/11
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2018年に読んだ組織論やマネジメント関連についての書籍
以下は2018年に読んだ組織論やマネジメント関連についての書籍です。 どの本も面白いのですが個人的に一番いい意味で意外性が高かったのが エンジニアリング組織論への招待で、東西の思想とそれが日本とアメリカでどのように伝播していったのかなどのエピソードなどが書かれていてとても興味深い。 なかなか、こういう話を耳にする機会はなかったのでおすすめです。
- 作者: フレデリック・ラルー,嘉村賢州,鈴木立哉
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/01/24
- メディア: 単行本
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- 作者: ピーター M センゲ,Peter M. Senge,枝廣淳子,小田理一郎,中小路佳代子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2011/06/22
- メディア: 単行本
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エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング
- 作者: 広木大地
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2018/02/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: Roy Osherove,島田浩二
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2017/05/13
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HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント
- 作者: アンドリュー・S・グローブ,ベン・ホロウィッツ,小林薫
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2017/01/11
- メディア: 単行本
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組織パターン (Object Oriented SELECTION)
- 作者: James O. Coplien,Neil B.Harrison,ジェームス・コプリエン,ニール・ハリソン,和智右桂
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2013/08/06
- メディア: 大型本
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小さなチーム、大きな仕事 働き方の新しいスタンダード (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: ジェイソンフリード,デイヴィッドハイネマイヤーハンソン
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/12/15
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さよならフリーランス
今年で4年間続けていた個人事業主いわゆるフリーランスを廃業することにする。
お疲れ様でした。
フリーランス→法人に移行したことによるもの。
フリーランスのままでいることもできたがあえて面倒くさいほうを取った。
いい判断だった。
会社を設立したことで個人事業と呼べるだけの収入がなくなってしまった。
クリス・アンダーソンみたいに趣味を事業にしたいが趣味がない。
仕事というものが嫌いだったが自分に裁量権があると楽しいものだというのに気付いた。
前向きではあるが取り立ててやったるぞという気持ちが強いわけでもない。
会社ができたことでなんとなく自分の事業をやらなきゃなとか収入を増やさなきゃとか考えるようになった。
会社の財布と自分の財布が分離されていたほうが総合的にメリットがある。
借金までして事業を大きくとかはよほどの確信がない限りやらない。
言い換えれば熱に浮かされてしまえば借金してしまうということなので地に足つけてやっていきたい。
基本今までの延長線上に立つ。
税理士のアドバイスを受けながらマネーフォワードで会計をつけているがいまだに仕組みがわかっていない。
ただ、収入とか支出のグラフを見るのは楽しい。
シミュレーションゲームの類に似ていてそんなに考えることはないのだがいろいろと夢想してしまう。
そんなことより手を動かせよ、ものをつくれよという自分もどこかにいたりする。
ひとつのことにとどまり続けることはできない。
株主も役員も自分だけ、あせる必要はない。
来年は会社の基礎体力をつけたい。
会社のUMLのようなものを書いた(会計編)
PlantUML でさくっと。
動機
いろんなサービスやカードや口座がどれとどれに紐付いているのかを可視化したかった。
UMLのようななにか
口座の引き落とし日がいくらとか限度額がいくらとかそういう情報も付け加えたりしたらまあまあよさそうな気がする。
MFクラウドで連携すればある程度は把握できるがこのサービスってどのクレジットカードに紐付いてるんだっけって調べたりもやもやするのが嫌だったので。
他にもいろいろと応用できそう。 パワポなんかに比べてテキストベースだから差分が取りやすいというのは大きなメリットだと思う。 他にもなんかあればつくりたい。
ツノウサラボの社名の由来ついて
ツノウサラボのツノウサというのはツノウサギといううさぎから来ています。 ではツノウサギという動物はどんなうさぎなのでしょう。
角が生えたウサギというのは存在しません。
いわば伝説上の生き物です。
「兎角」という言葉はありえないこと、起こりえないことのたとえとして、中国では用いられています。
また、アメリカにも同様にジャッカロープという頭部にシカの角が生えているウサギが伝説上の生き物として語られています。
世界各地に伝説として残っているようですが誰もその存在を確かめられてはいません。
ただ、かつては存在しないと思われていたが、実は存在したという生き物もいます。
存在しない生き物(でも実際には存在した)の例えとしてよく挙げられるのがブラックスワン(黒い白鳥)です。
「リーマンショックを予見した」として一躍有名になったタレブの著作にその名も「 」の紹介文には以下のように書かれています。
むかし西洋では、白鳥と言えば白いものと決まっていた。そのことを疑う者など一人もいなかった。ところがオーストラリア大陸の発見によって、かの地には黒い白鳥がいることがわかった。白鳥は白いという常識は、この新しい発見によって覆ってしまった。
「ブラック・スワン」とは、この逸話に由来する。つまり、ほとんどありえない事象、誰も予想しなかった事象の意味である。
ツノウサギも存在は確かめられていませんが、もしかしたら地球の何処かの森の奥で、ひっそりと人に見つからないように過ごしているのかもしれません。
また、評価額が10億ドル以上の未上場のスタートアップ企業をユニコーン企業と呼ぶようになりました。
企業価値が高くて創業間もない企業は少ないことから、「うわさは聞くが、だれも見たことがない」という、ギリシャ神話に出てくる伝説の一角獣の名前に例えられこの言葉がつけられました。
ツノウサラボの価値はまだそんなに高くないかもしれません。
存在するのかしないのかそもそもよくわからない、誰も知らないけれども実力はあるという存在を目指してツノウサラボという会社は誕生しました。
もし、ツノウサラボをどこかで見かけたらそれは貴重なものを見れたのかもしれませんね。
冗談です。
それでは引き続きよろしくお願いします。
社内Wikiが古くて困る問題
仕様とかそのあたりを社内Wikiで管理しているといろいろな問題が発生するけど今回は社内Wikiが古くて困る問題について取り上げる。
社内Wikiが古くて困る問題といったが正確にはその情報が正確かどうか新しくジョインしたメンバーにはわからない問題といっていいかもしれない。
作成日や最終更新日や編集履歴といった情報はわかるがこのページに書かれている情報が正しいかどうかについての記述はどこにもない。
結局、プロジェクトの前任者や長く社内にいる人に問い合わせしなければならずこれではなんのためにWiki があるのかわからない(そして、問い合わせるときはたいていWikiの内容が正しくないときだ)。
解決策のひとつとして「Wikiを都度アップデートする」というのがある。 この解決策をどのように実現するかについてはここでは述べないが、もし常にWikiがアップデートされるようになったとしてもそれは誰かがこのWikiは更新が必要だぞと気づいた場合のみにおいてである。
つまり、更新がしばらくされていないWikiの記事があった場合その記事は次のうちのどれかである。
- 内容が誤っているが誰もそのことに気づかないため情報が古いままである。
- 内容が正しく編集する必要がないため誰も手をいれない。
このとき、問題になるのは後者である。 本来は正しい情報が書かれているのにも関わらず信頼度が低い。 これは情報の信頼性を担保するものが最終更新日くらいしかないからである。 新しくアサインされたメンバーは最終更新日という情報をもとにそのページの信頼度をはかるのである。
いずれにしろ、このメンバーは最終更新日という情報をもとに記事が信頼できるかどうか判断するために古い情報については古くからいるメンバーに問い合わせる必要がある。
解決案として思い出したのが、この情報は正しいという信頼マークのようなものを記事につけることができたらどうだろうか。
例えば、先輩社員が後輩社員をトレーニングするときにこのWiki を参照して作業をしてくださいという指示を出す際、事前にWiki の内容を確認するだろう。 そのときに、内容が正しいことを確認した際に信頼マークをつけられるようにすれば記事を更新しない場合に記事の信頼度を高めることができる。
なかなか個人的にはこのアイデアはいいような気がする。 ではそれをどのように実現するのだろうか。 この機能が実装されたWiki サービスがあればだれか教えてください。
- 作者: レイチェル・ボッツマン,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2018/07/20
- メディア: 単行本
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同棲すると
バイリンガルニュースのどのエピソードか忘れたけど、こんなトピックがあったので紹介します。
同じパートナーと長年いっしょにいることで相手への性的欲求が減少し問題に発展することがありますが、相手への性的欲求を保つための要素ははっきりとはわかっていません。
今回 The Journal of Sex Research に掲載されたイースタンケンタッキー大学の研究において、パートナーとの性的欲求を保つ方法について書かれた記事においてシステマチックレビューを行った結果、それぞれお互いを魅力的だと感じることはもちろん、自分自身を魅力的だと感じている必要があることがわかりました。
研究では長期の関係において、性的欲求を保ち続ける要素を以下のように挙げています。
- 性的欲求に対して現実離れした期待値を抱かないこと
- 主体性を持つこと
- ストレスをためこまないこと
- 新しいことにチャレンジすること
- お互い平等でいること
- ステレオタイプを捨てること
日本人の回数は世界最低な理由ももしかしてこの辺にあるのだろうか。 相手を尊敬し、自分に自信を持つことからはじめよう。