人類は純粋な論理的思考ができずプログラムも書けない
小学校低学年にはプログラミング教育は意味がない?
子どもへのプログラミング教育は早ければ早いほどいいというものではない。
最近子どもへのプログラミング教育が話題になることが多いけど、恐らく小学3年生までの子どもへの効果はほとんどなく、小学4年生でもほとんどの子どもには難しいと思う。
人間の知能の発達には段階があって、必要な段階に達していないうちにそれが必要な教育を行っても効果は望めない。
なるほどどうだろう。
感覚運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期という4つの段階がある中で、プログラミングができるようになるには、具体的操作期から形式的操作期に移行する必要があるようだ。形式的操作期になると抽象的な考え方ができるようになるという。この移行の時期が、書かれているところによって違うけど9歳から12歳くらい。
あ、抽象化した考え方、たとえば数学みたいに純粋なロジックだけのプログラミングを教えてもあんまり効果ないということか。
ただ、小学生が授業で習うのは算数であって数学ではない。
小学生には算数のようなプログラミングを教えないといけない。
でないと、プログラムの授業は死んだ目で授業を受けるか授業を放棄してすきなことをやる子どもたちばかりになってしまう。
プログラミングを小学校低学年に数学を教える学習指導要領が組まれているとしたら、それはさすがに教育者の手抜きだ。
人間は純粋な論理的思考を行うように進化していない
突然ですがここで問題です。
- 20歳未満はアルコールは飲めない
日本の法律ではこのように定めれている。
以下に4枚のカードがある。
表には年齢が書かれている。
裏には飲み物が書かれている。
さて、年齢が20歳未満であればアルコール飲料は飲めないというルールが破られていないかどうか確かめるためにどの2枚のカードをひっくり返せばいいでしょうか。*1
この問題はおそらく多くの人が解けるはずだ。
一方、この問題はどうだろう。
同じような問題のはずなのにとたんに難しくなる。
以下に4枚のカードがある。
カードの表に偶数が書かれていれば、裏には原色の名前が書かれている。
さて、このことが正しいことを証明するにはどの2枚のカードをひっくり返せばいいだろう。
この問題の正答率は25%以下で、論理についての教育を受けていても同じだ。 *2
私たちの脳はこのような後者のような一般的な論理的な問題を解くように配線されていない。
その代わり、前者のような社会的な問題であれば専用の配線がなされているのだ。
つまり、社会的な問題であれば私たちは論理的な思考ができるということだ。*3
そんな人類が皆抽象化された論理的な思考を学び、教える。
かなりチャレンジングだと思う。
さらに言うと残念ながらプログラミングなんてできるやつはできるし、 できないやつは全くできない という結果もあるのだ。
プログラミングの素質がある人間の割合は、年齢や性別や教育レベルでは変わらないようだ。プログラミングの素質のある人間は、40%ぐらいであろう。つまり、残りの60%は、プログラミングの素質がないのだ。
ちなみに私は仕事でプログラムを書くが悲しいことにその残りの60%に含まれる。
無意味な文脈から一貫した規則を形成して適用できる人間は、プログラミングの素質がある。無意味な文脈から多くの規則を生成してバラバラに適用する人間は、プログラミングを学ぶのが難しい。
小学生から「無意味な文脈から一貫した規則を形成」させることを教えたらプログラミングが得意な人間ばかりになるのだろうか。
プログラミングはみんなやるべきだと個人的には思うが全員ができるようにはならないみたいだ。
じゃあどんなふうに教えればいいのか
子どもは暗記が得意だ。
とある幼稚園で国旗と国名を覚えさせるということをやっていて子どもたちは簡単に覚えてしまっていてタイとかバングラデシュとかフィンランドなど数十カ国の国名を国旗から言い当てることができて驚いたことがある。
ポケモンや妖怪ウォッチなんかの数百種類のキャラクターの名前だって覚えられる。
この記憶領域に「論理的な思考方法」を植え付けられないだろうか。
と思いついたところで力尽きた。
裏表のカードの問題は意識は傍観者であるという人間の脳について書かれた本に載ってあった。
意識は傍観者である: 脳の知られざる営み (ハヤカワ・ポピュラーサイエンス)
- 作者: デイヴィッド・イーグルマン,大田 直子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/04/06
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